スペインを凌駕したオリンピックB代表

グループリーグ初戦、スペインに1−0で勝利。
日本が決定機を逸し続けても、
スペインにはほぼ決定機はなく、
日本の効果的なビルドアップと対照的に、
プレッシャーを掛けられたスペインはビルドアップでミスし続けたこの試合、
完勝と言っていい。
何度もボールをさらいシュートを外す永井。
シュートを打つべきところで打たず、打ったら外す清武。
走った東。
完璧な吉田と徳永。

たぶん、海外のメディアやサッカーファンだけでなく、
多くの代表サポーターにも衝撃的だっただろう。

私自身はクラブサポーターなので、
自身のクラブの選手が不在の代表には頓着しないのだが、
流石にこの試合は衝撃的だった。

あの強豪スペインに勝ったとか、
大津が点決めたとかもそうなのだけれど、
元々この代表の期待度の低さをご存知であれば
この感覚を共感頂けるだろう。


サッカーに詳しい方ならわかるはずだ。
関塚ジャパンを信頼していない理由を。


その理由とは「オリンピック代表はベストな人選ではない」ということだ。


何度も不味い試合を披露しながらも、
それまで構築してきたシステムをかなぐり捨てるような人選であった。


大きい大会の時はいつだってそうなのだけれど、
人選が波紋を呼ぶ。
今までのW杯やオリンピックでもそうだったし、
今回も例外ではない。
選ぶのは監督だから仕方ないのだけれど、
予選を勝ち抜いてきた際の功労者がふるい落とされ、
期待の新戦力が選ばれるのだ。

それ自体にケチをつけたい訳ではなくて、
JFA(日本サッカー協会)と関塚監督の
オリンピックへの熱意の感じられない人選だったのだ。
例えば、OA枠の人選や香川、宮市を呼ばないなど、
所属クラブへの配慮があったにせよ、
クエッションマークが付きまとった。
それ以外にも、「もっといい選手がいるのに」「何でここまで来て」という
歯痒さを覚えたクラブサポーターも多いはずだ。


しかしこの世界は、勝てば官軍、負ければ賊なのだ。
前のW杯で下馬評を覆した岡田監督に文句を言う輩はいないだろう。

賽は振ってみなければわからない、
だから文句を言わず甘受したかわりに
期待はずれのオリンピック代表が出来上がったのだ。


そして関塚監督は勝負に勝ったのだ。
そしてそれはサプライズをもたらした。
このチームはオリンピックB代表、言ってもA'ぐらいのものだろう。
そのチームが強豪相手に善戦どころか圧倒したのだから、
日本サッカーのポテンシャルに驚愕したのだ。
ブンデスを席巻する日本勢の実力を証明するかのように。


若きスペインは虚栄心が傷ついたのか、
無駄なラフプレーや非紳士的行為が目立った。
驕り高ぶった彼らの振る舞いは自らを貶めるだろう。
スタジアムはそんな彼らにブーイングで警鐘を鳴らしていた。
終盤、プライドを捨てボールを放り込むスペインは
不慣れで覚束無かった。

そんな彼らに言葉を贈ろう。
「今日、サッカーが勝利した」

「日出処の蹴球、書を日没する処の蹴球に致す、恙なきや」