マネーボールとリーグと衰退

今季大型補強をした名古屋が首位に立っている。
リーグを見渡しても1、2を争う豪華メンツだ。
そしてそれは数年前の浦和を彷彿させる。
それは豪華さだけでなく、そのサッカーもである。

名古屋がやっているのは、浦和のモデルケースだ。
それを作った浦和は黄金期を築き、多くのタイトルを獲得、年俸は高騰し、選手は歳をとり、多くの選手を保有することで選手間の軋轢を生み、チームはバランスを失い、一つになれず、結局バラバラになった。

浦和が目指すべきは、バルサよりもアーセナルである。
それは経営のモデルケースとしてだ。
ベンゲルの凄さはコーチとして能力だけでなく、マネージャーとしても優れている点だ。
有力オーナーを得た金満クラブと経営悪化に喘ぐクラブがひしめくプレミアリーグで、大型補強をせず、若手を育て、強豪チームを作り、選手の売り時を見極め、スタジアムを買い、健全に経営をしているのはベンゲルの手腕である。
それはマネージメントの素養を有しているからに他ならない。
そしてフィンケも同じようにその素養を有している。
浦和の目標は強豪チームに創り、スタジアムを所有することである。
それはとてもロマンがあるクラブ作りである。

浦和は既に金満クラブではなくなったと見ていい。
ここ最近のホームゲームの動員が3万前後という厳しい数字は、今後のクラブ経営に影響するだろう。
それでも浦和の収入はリーグ1かもしれない。
しかし損失補填の解除をし自立経営に踏み切り、厳しい収支報告が続いている現況を鑑みれば、名古屋と張り合うのは難しいだろう。

要するに浦和は独り相撲をしている。
多くの強豪チームは親会社におんぶに抱っこで、まるで企業チームのようである。
プロフットボールリーグを戦っているのは、地元企業の支援を募り戦う地方の市民クラブと浦和だけである。

リーグも対策が必要なのだ。
自立経営をしているクラブに放映権の自由を与えるだとか。
リーグ放映のパッケージ売りは否定しないが、有料チャンネルと契約している時点でマーケットを見誤ってるとしか思えない。


話は変わるが、
U-19代表が予選敗退したそうだ。
そして懸念されるニュースがある。
田嶋副会長 ユース世代のJ優先を疑問視

確かに若い世代の経験の場がなくなるのは残念である。
ただ、今現在の各国代表を見渡せば、実力のある若手選手は飛び級でフル代表に選出されているのが現状である。
そういった選手は一流のヨーロッパリーグのクラブに所属し、主力で活躍しているはずだ。
ユースW杯にそういう選手は出場しないだろう。
何故なら所属クラブが難色を示すからだ。

そして主眼を忘れてはならない。
フル代表の強化が最大の目的ならば、その強化のため創られたリーグを軽んじてはならない。

はっきり言おう。
もうJリーグの衰退は始まっているといっていい。
衰退するリーグの魅力をまたも殺ごうとするこの発言が、協会副会長から発せられること自体残念でならない。
W杯での代表の躍進があっても、そのサッカー熱がリーグに還元されなかったのは魅力がないからである。
緊張と興奮を味わえた代表と、うだる暑さの中クダクダなJリーグのサッカーは同じ俎上にのせられ、過酷な条件下のサッカーいうエクスキューズは、普段からサッカーを視聴しない人には届けられずに審判は下る。
Jリーグはつまらないと。

売り手の時代は終わった。
買い手のニーズをマーケティングしなければ売れないのである。
リーグは市場を開拓し新たな顧客を引き入れなければ、このまま衰退していくのみだ。
秋春制、外国人枠の増加、プレミア構想、放映権利の統括、議題は山積みだ。
現状は協会とリーグのお偉い方の年金リーグである。
誰の為の何の為のリーグなのか?

私にとって、代表よりクラブの方が何倍もプレミア度が高いのだ。
リーグが盛況になれば、そんな人達も増えるだろう。

そうなった時初めて、フル代表はヨーロッパ列強国に肩を並べられるのではないだろうか?