三菱自が日産傘下へ
三菱自動車(7211.T)と日産自動車(7201.T)は12日、それぞれ取締役会を開き、資本業務提携を決めた。複数の関係筋によると、日産が2000億円超を投じ、第三者割当増資を通じて三菱自株式34%を取得する見込み。燃費データ不正問題の発覚で業績悪化が避けられない三菱自は、不正問題を機に日産という「新しい血」を受け入れて再建を目指す。
日産は第三者割当増資に応じ、三菱自工の筆頭株主になる。
468.52円 で 5億662万株発行。
投資額 2373億円。
既発行株式数 9億8366万株。
日産が取得する割合は
50662/(98366+50662)*100≒33.99
約 34%
理論的には
一株あたり利益(EPS)は希薄化率分だけ減少する。
株価収益率(PER)が変わらなければ、株価は希薄化率分(34%)下げる。
ここまでの経緯をみると、
日産が燃費偽装を告発
↓
三菱自工の株価下落
↓
問題の収束も待たず日産の傘下へ
これがトータルで34%保有で議決権(拒否権)を持つ三菱グループの同意を得て(話を通したうえで)行われているなら、グループから捨てられたも同然である。もしそうでなければひと悶着ありそうである。
これに関しては以下が詳しい。
闇株新聞「日産を取り戻すどころか三菱自動車まで取られてしまった」
日産はルノーの傘下で、ルノーは国策企業でフランス政府の株式保有率が増える予定である。今回の件は日差よりもルノーやカルロス・ゴーンが暗躍している可能性は高そうだ。
商法上の子会社は株式比率50%超から。
日産は34%なので拒否権を得る。
33%超
(1)経営上のガバナンス 33 %以上を持つと経営上の拒否権を得ると言われている。これは、特に経営上重要な事を決定する場合には株主総会の特別決議が必要とされている。株主総会の特別決議は 2 / 3 以上の議決権が必要とされるので、1/3以上を持っていれば、経営上重要な事項に対して拒否することができるため、このように言われるのである。
(2)会計上の影響 20%以上50%以下はその会社を損益だけを一行(持分法投資損益)で認識するだけである為、33.33%超にしたことによる影響は無い。より多くの損益が加算されるだけである。
浦和レッズの行方
浦和レッズ自体、経営的に自立していてここ数年の黒字で内部留保を貯めているはずである。ただこれは損失補填のない保守的な経営とも取れるし、代表の言い分は外国籍選手の獲得資金であった気がする。要するに経営的な自立が三菱を離れるためでも市民クラブになるためでもないことである。これは歴代クラブ代表が自工からの出向であるため必然である。
レッズはスタッフを含めた人件費はリーグトップであり、レッズランドなどの収益を生まない大きな事業も抱えている。クラブというのは公益法人であり、多くの利益を上げようとはしていない、ただクラブライセンス制度が変わり奔放な経営の引き締めを狙い赤字を出さない経営努力をリーグは促している。この中でどの程度三菱自工が経営的な関与をしているかはわからないが、常にスポンサードしレッズの収支への影響は大きい。企業的にはそれほど金が掛からずイメージアップに良い広告塔である。
日本ではスポーツクラブの株式公開は認められていない。レッズの収支からすると、市民クラブ化よりも三菱グループ内のスライドの方がイメージしやすい。
まだ日産の言うとおりに事が進むとは限らないのでどうなるかは不透明だが、そうなった場合のレッズとマリノスの処遇はリーグ判断にかかってくる。
抵触しそうなJリーグ規約
第 25 条〔Jクラブの株主〕
(5) Jクラブは、直接たると間接たるとを問わず、他のJクラブまたは当該他のJクラブの 重大な影響下にある法人の経営を支配しうるだけの株式(社団法人または特定非営利活 動法人にあっては社員たる地位)を保有している者に対し、自クラブまたは自クラブの 重大な影響下にあると判断される法人の経営を支配できるだけの株式(社団法人または 特定非営利活動法人にあっては社員たる地位)を保有させてはならない。
出資が完了した場合でも50%以下のため自工は子会社化されない。しかし傘下でありグループという括りとなる。そのため上のリーグ規約に引っかかる可能性がある。
勿論、日産がマリノスを売るケースも考えられるが、自工がレッズを手放す可能性の方が高いだろう。ただ今回の日産の動きをみると、Jリーグクラブへの思慮を欠き企業戦略を優先している。ゴーンにとってマリノスなど取るに足らないものなのだろう。自工もすんなりと受け入れるところを見ると誰かが書いた出来レースみたいだ。
浦和レッズの株主一覧
資本金増額の推移設立時資本の額
平成4年3月5,000万円 株主1社 三菱自動車
平成8年12月9,000万円株主3社 三菱自動車、さいたま市、埼玉県
平成12年12月16,000万円株主31社
平成17年7月同上株主30社
増資が2度あり、1社から31社の持ち合いに。H.17に1社が降りて30社に。
もし自工が株式を手放すとなった場合、三菱グループへの売却が普通だろう。可能性が高いのは重工、商事、地所、電機あたりだろう。三菱UFJニコスや東京海上日動火災も三菱グループで株主となっている。リーグスポンサーの日本郵船なども三菱グループだ。三菱商事や三菱重工が赤字で経営が苦しいといっても大企業から見れば二束三文である。
浦和レッズの広告価値と今までに築き上げたイメージを考えれば、スリーダイヤがなくなることは考えられないだろう。
追記
5/13日付の記事
日産傘下入り「渡りに船」=三菱自問題でグループ3社
この記事の通りなら、グループ内の足切りととらえてよさそうだ。昨日の会見時のウィンウィンの写真がすべてを物語っているらしい。
どうなる浦和と横浜、村井チェアマン「情報収集を」
リーグの判断は今のところ未定。
マリノスは日産の、レッズは三菱自の子会社である。この増資が完了すると三菱自は日産傘下になるが株式保有は50%以下のため子会社ではない。なのでマリノスとレッズは子会社と孫会社の関係にはならないが、グループ傘下の2重保有が許されるかどうか。2重保有と見なされればレッズは筆頭株主の変更を余儀なくされる。
レッズのことを顧みもせず三菱グループからも見捨てられる始末の問題児の企業よりも、財務基盤のしっかりした三菱系企業の方が後々のことを考えても良いだろうが、結局リーグ判断と企業側の思惑に委ねられる。
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