浦和の圧殺ポゼッション




様相の違う鉾と盾


浦和対ガンバのプレビューで「宇佐美の鉾と浦和の盾」だなんてのがあった。あながち間違ってないんだけれど、違和感を強く感じた。数字からみれば堅守の浦和、攻撃力のガンバなのだろうが、実際のサッカースタイルは一昔前の両雄をまるでそのままそっくり入れ替えたかのようになっている。

点を獲らずも獲られるなのポゼッションフットボール


ポゼッションを標榜する浦和がJでポゼッションを取られるチームは川崎ぐらいだ。その川崎はリスク選好型のポゼッションで点を獲るし獲られる。浦和も元々はリスク選好型だったはずがここ数年の失敗が効いてるのか、リスク回避傾向になっている。真の意味で回避的ではないし、堅守の言葉がこそばゆいのは、ACLでの失敗があるからだ。GL敗退の理由はリーグ優先の人選とアジアがJよりも強いからだろう。とにかく「点が取れない守れない」だったのが、Jでは点は取れないが守れたのも事実である。ACLでの不振が正当化した妥協点とも言える。負けるよりはマシなのだ。

拙守を隠す得点力


第9節終わった時点でガンバの得点は15点、失点は8点である。堅守速攻のチームだが、数字を見るに堅守とは言い難い。その代わりに得点力は高い。FC東京は11得点、5失点でガンバより勝ち点を稼いでいる。スタイルからするとアンバランスではある。ガンバは浦和よりはマシだがACLで苦戦している。その理由は簡単でJのように得点できずに失点をするからだ。守り切れるならばここまで苦戦していないだろう。

弱い鉾と脆い盾


メディアは、浦和の弱い鉾とガンバの脆い盾ではなく、浦和の堅守とガンバの攻撃力にフォーカスした。両チームとも自チームのスタイルとサポーターが望むスタイルの違いに苦しんでいるのかも知れない。互いにACLでの不振の払拭に必死なのも影響しているだろう。問題点は保留し、ストロングポイントの強化で凌ごうとしている。

浦和の圧殺ポゼッション


得点力のないポゼッションの意味は守備である。ボールを取られない限りは攻撃を受けない。浦和がカウンターに弱いのはリスクを掛けた時にボールを失うからである。人数を掛けた攻撃や縦パスのタイミングでミスがでれば速攻を食らいやすい。

この試合、浦和は大きいリスクを掛けず淡々とボールを支配する。途中ミスが出ても出足早くプレッシャーを掛けるので良いボールがガンバの前線へ供給されない。また、パトリックや宇佐美のポストを簡単に許さなかった。前半に走らされた為後半はスタミナ切れし、前線2人は孤立し、8人は自陣でブロックを作るのみに終始した。浦和はショートカウンター気味に得点を奪い逃げ切った。

互いに決定機は少なかったが、浦和は得点を取るために過度にリスクを取る気はさらさらないといった感じでガンバ陣内でボールを回し続けた。スコアレスドローになる可能性は高かったが、ガンバが浦和に勝つことはないといった感じの試合内容となった。

意外なほど弱いガンバ


ここまでガンバに「何もさせず」に圧倒して勝つというのは記憶にない。遠藤のFKと宇佐美の終盤のシュートは確かに西川のビッグセーブに救われたが、堅いといった印象の試合となった。

昨年、浦和はガンバに足元を掬われたあの試合でも宇佐美、パトリックは抑えられた。宇佐美、パトリックを抑えられればそれほど怖くない。しかしその2人を抑えられるDFがJには数えられる程度しかいないためこの結果となっている。

負けない浦和


パトリックを完璧に抑えた槙野は称賛に値する。今現時点だとJで一番のDFだろう。守備が出来て攻撃も出来る。

あれだけ問題の多かったボランチ柏木で戦えている現実を見ると素晴らしいと思う反面、多分アジアでは勝てないとも思ってしまう。少なくともJレベルでは戦える目算がついた。

負けないサッカー、負けづらいサッカーというの勝ち点の計算がしやすい。このままファーストステージが獲れればいいなあ。

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