昔の浦和のような名古屋と、昔の浦和のような浦和

昔の浦和(ギド、オジェック期あたり)のような名古屋と
昔の浦和(オフト、ギド1年目)のような浦和の戦いに勝利したのは
現浦和だった。

日本では個の能力で戦うことに批判が出やすい。
しかし個の能力とは何か?
組織力で戦う例としてバルセロナを挙げるのならば
それはお門違いと言わざるを得ない。
パスをアタッキングサードで10本、20本と繋ぐには
チーム総体としての高いスキルが要求される。
そしてパスの供給とレーシヴ能力に優れるシャビ、イニエスタという
スペシャリティとどんな密集も突破出来るメッシなくしては再現できないのだ。
浦和が出来なかったのは個の能力不足であり、
それを実現出来るのはバルサとスペイン代表のみである。
フットボールの桃源郷であるトータルフットボールに限りなく近いが
オランダ代表が具現化したものとは少し趣が違う感じもある。

話を戻そう。
個の能力である。
ピクシー体制下で一番システマティックで美しいフットボールを
していたの就任1年目である。サイドチェンジを駆使し、
サイドから綺麗に崩すサッカーにはヨーロッパの洗練された香りがしたものだ。
過度に個人能力に頼らない、組織ベースの戦い方だったと記憶している。
清水の久米GMを引き抜き、金に糸目をつけない補強を始め、
いつの間にか強い既視感を覚えるサッカーになってしまった。
タイトルを穫っているから問題はないのかも知れない。
攻撃陣と守備陣が前後分断され、
体を張る守備陣は疲弊し、ボールを追わない前線は一瞬の輝きを魅せればいいと思っている。
それは正に、黄金期の浦和と瓜二つだ。

チェックにいかない才能ある選手たちには辟易するものだ。
金崎、藤本、ケネディ。
ボールを貰った金崎は期を見ず、無闇にドリブルを仕掛け撃沈。
藤本に至っては交代するまで消えていた。
明らかに不適正な小川はボール狩りの的になり、
その修正を行えないチームに王者の雰囲気は皆無だった。
個の能力が高かろうともチームの歯車となって初めて発揮されるものである。

かわって浦和。
ディフェンスラインを高くコンパクトにし、前線からのハイプレスが効いた。
特にポジショニングが良く、攻撃時、守備時ともによく準備され、
スムーズなトランジションが為されていた。
それによりスピーディーなショート・カウンターで得点。
特に1点目の時など鹿島と見紛うような人数の掛け方であった。
オランダのシステムとは論理的であり合理的である。
適切なポジション取り、アタッキングサードに速くボールを運ぶ。
システマティックな戦術がカオティックな戦術に勝てるかは分からないが
立ち位置には戻りやすいはずだ。

ゴール前を固められたとき、どうやって崩すかに答えが出せれば
浦和の上位も見えてきそうだ。

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