彼には何度も魅せられている。
サポーターが決めてくれと願うとき
いつでも決めてくれるのが、ロビーだった。
フィンケのサッカーが観ていて面白いかどうかは人それぞれであろう。
個人的には面白い、
けれど先制したあとは大抵、追加点を奪えず
退屈なサッカーに終始する場合が多いように思う。
フィンケの攻撃時のアイデアは、局面での数的優位とパス交換、
そしてシステマティックな追い越しでサイドを破ることである。
利点は相手を自陣に押し込め、ゴール前に張り付かせる。
弱点は数的優位を作る事を優先するためスピード感はないこと。
そしてカウンターを受けやすいこと。
試合開始から大抵、主導権を握るのはレッズである。
それは均衡を破るためアクションを仕掛けるチームだからである。
しかし先制すると、相手もリスクを負って攻めてくる。
始めはボールキープを許し、リトリートしていた相手が
出足鋭くボールを狩りにくると、
それに慌てふためき、
リスキーであったチームがリスク管理へと大きく舵を切るのである。
相手サイドのスペースへ走り込む選手はいなくなり、
自陣サイドのスペースを埋めることを優先させる。
そうなると自然、アクションはリアクションへと変化せざるを得ない。
そしてカウンター下手なチームは疲弊していくのである。
残り時間10分。
ピッチ脇に準備するロブソン・ポンテに盛大なコールが沸き起こる。
サポーターにはわかるのだ。
何度もカウンターの好機を逸し、戦局を変えられないチームに必要なのは
タメを作り戦局を変え、絶好機を決める技術を持った選手だと。
素早い切り返しで相手DFを半身抜き
ゴール右隅に綺麗に放物線を描く。
一瞬のクイックネスと体の使い方の巧さ、正確なキックで
非常に合理的にプレーするクレバーさを見せつけられた。
プレーの質は勿論、彼みたいなキャプテンシーを持った選手はなかなかいない。
味方選手を鼓舞し、一所懸命にプレーする。
今日、彼のプレーを観て思った。
チームが勝利するのは嬉しいが、それだけじゃない。
愛し愛される選手とサポーターの関係のなんと美しいことか。
チームの為に尽くす選手をサポーターは知っている。
彼がレジェンドであることも。